経済保障

脳外傷による高次脳機能障害で、就労もできず、所得が無く困っています。どうしたらいいでしょうか?

あなたが受傷以前から、就労して所得を得ていた方でしたら、先ず、最寄の社会保険事務所に行ってご相談ください。年金番号を調べることにより、勤務先でどのような年金制度に加入していたかが分かります。厚生年金に加入していた方は、障害厚生年金の申請をすることが可能です。公務員などの方は、障害共済年金が申請できます(平成27年10月より、共済年金は厚生年金と統合されました。ただし、障害認定日が平成27年9月30日以前の方は加入されていた共済年金組合にご確認ください)。又、自営業者や学生、主婦などの場合は国民年金に加入されている場合は、障害基礎年金の申請ができるでしょう。

受給できる年金額は、いくらくらいですか?

以下の表を参照してください。

年金の種類 備考
障害厚生年金 就労期間中に積み立てた年金額による支給額決定・3級未満でも障害手当金が支給される場合がある。
1級から3級まで(3級の場合最低補償額は585,100円)
障害手当金=比例報酬年金の2年分(最低補償額 1,170,200)
障害基礎年金 1級 781,700円×1.25+扶養する子の加算額。
2級 781,700円+扶養する子の加算額

障害者手帳の等級と障害者年金の等級とは、関係がありますか?

しばしばこの問題を混同しておられる方が多いのですが、障害者手帳の等級と障害年金の等級とはまったく関係がありません。なぜなら、所管する制度・機関がまったく異なるからです。

つまり障害者手帳3級でも障害年金3級ではないということです。例えば精神障害者保健福祉手帳は1級、2級、3級となっていますが、障害基礎年金は1級、2級のみです。

年金の申請はどのようにしたらいいのですか?

障害年金の請求は、初診日から1年6ヶ月を経過した日(障害認定日)の障害の状態によって障害等級に該当するかどうかを判断します。

なお、請求日が初診から1年6ヶ月より1年以上すぎている時は、原則として、障害認定日の診断書と請求時点の診断書が必要になります。

認定日の障害の状態が軽く、障害として認められませんでした。しかし、その後に症状が悪化しました。障害として認めてもらい障害年金は受給することはできますか?

麻痺や、てんかん発作の憎悪など認定日以降に悪化した場合には、65歳になる前日までに請求することができます。この制度を事後重症制度といいます。この場合、年金の支給は請求した翌月からになります。

脳外傷による高次脳機能障害の場合は、入院中にはなかなか症状の把握ができないため、退院時に後遺症は無いと判断されがちです。在宅生活や、社会復帰後に症状があることが、家族や周囲の人に感じられて受診する場合がしばしばあります。中には事故後10数年経過した場合もあります。

改めて、神経心理学的諸検査を実施したり、最新の画像判断で後遺症の認定が可能になることもあり、年金請求が可能になる場合がありますから、おかしいと思ったら専門機関で受診、相談を受けてみましょう。

学生時代に国民年金に加入していませんでした。その間に事故に遭い、障害年金の受給申請をしましたが、国民年金強制加入期間に加入していなかった義務違反であるからと支給されませんでした。なんとかなりませんか?

あなたのような無年金障害者を救済する特別障害給付金制度が2006年から始まっています。障害基礎年金1級に該当する方は月額50,000円、2級に該当する方は月額40,000円の支給が受けられると思いますので、最寄の年金事務所 又は市町村の窓口に相談なさってください。

通勤途上の事故で障害者となりました。労災年金と、障害年金の併給はできますか?

できます。ただし、受傷後1年6ヶ月の間は休業給付が支払われ、積極的治療が行われ医療費も支払われます。この後、障害認定が行われ1級から7級までの場合、労災年金が支払われます。8級から14級までは障害保障一時金が給付されます。

又、労災の障害等級1,2級の場合には、介護給付も受けることができます。

同時に9級より重い障害補償給付を受けている場合には、「頭部外傷症候群に対するアフターケア」として、健康管理手帳が交付されこれを受診時に提示すると、症状固定後も月に1度程度の通院受診、投薬などの自己負担は生じません。

症状固定後に障害厚生年金(又は障害基礎年金)が支払われるようになり、労災年金と両方の年金が支払われますが、労災年金が一定率減額されます(調整率は、障害厚生年金1・2級の場合は0.73、障害厚生年金3級の場合は0.83、障害基礎年金1・2級の場合は0.88となります)。

高校時代にアルバイト帰宅途中で交通事故に合い、後遺症を負いました。労災補償の対象になるでしょうか?

なります。通勤災害としての補償の対象になります。この場合、勤務先の事業所がすでに倒産して廃業していても、労災からの補償対象になることに変わりはありません。

市町村の窓口に相談に行きましたが該当しないといわれて、あきらめていました。再審査してもらうことは可能でしょうか?

担当者が制度について、熟知していなかったり、相談者の問題が整理されていないと初診日や、障害認定日の解釈を誤ったり、状況把握が不完全で、該当しないといわれてしまうことがあるようです。地域の生活支援センターや全国的に活動している 無年金障害者の会、無年金障害者を無くす会、障害者の生活と権利を守る会などにご相談になってみてください。